⑤ 働き方改革が始動しました!人事制度の多様化を進めていますか?

企業には、「ヒト」・「モノ」・「カネ」の3つの経営資源があると言われています(「情報」を加えて4つという場合もあります)が、そのうちの1つである「ヒト」に関する全般を管理するのが労務管理の役割です。その労務管理を含めたヒト=従業員の「処遇」に関する仕組み全般を人事制度と言います。

 

人事制度とは、広義には労務管理を含めた従業員の「処遇」に関する仕組み全般ですが、近年では、従業員の処遇を決定する基本的な枠組みである「評価制度」、「等級制度」、「賃金制度」に絞った狭義の「人事制度」で使うことが多くなっています。

【 諸規則 】

 

広義の人事制度ですが、大きく分けて3つあります。
① 賃金制度(賃金制度・等級制度・評価制度)
② 就業規則  ☚ ④ 就業規則の作成・変更 を参照ください
③ それ以外(人材育成・人事異動・福利厚生など)の諸規則  など

なぜ人事制度を設ける必要があるのか、人事制度の目的を踏まえた上で、人事制度について見ていきましょう。

目次
1. 人事制度の必要性と目的
2. 人事制度の歴史
3. 人事制度 (等級制度・評価制度・賃金制度)
3. 人事制度 (1) 等級制度
3. 人事制度 (2) 評価制度
3. 人事制度 (3) 賃金制度
4. 人事制度の現代の問題点
5. 人事制度の構築
6. 人材育成・人事異動・福利厚生などの人事制度諸規則

人事制度の必要性と目的

企業活動では事業目的を達成して、企業が成長・発展するには、「ヒト」つまり人材が欠かせません。また優れた「モノ」や多くの「カネ・資金」を持ち合わせていたとしても、これらを有効活用出来るだけの能力を持った人材でなければ意味がありません。ただ能力を持った優秀な人材がいれば良いのかというとそうとも限りません。その能力が発揮出来なければ企業にとって宝の持ち腐れだからです。そのため、企業は人材の能力を如何なく発揮出来るように、快適な職場環境を提供しながら、モチベーションの維持や向上を念頭においた仕組みが必要なのです。人材の能力を伸ばして、さらに成長させていくことも人事制度の大きな役割となります。

つまり、従業員の能力やモチベーションを向上させながら事業目的を達成して、企業の成長へと繋げていくことが人事制度の目的であり必要性です。

 

人事制度の歴史

~1990年以前  ☚  こちらをご覧ください

◆ 1990年代以降~人事制度の歴史 : 成果主義の結果は?

この時代の賃金政策は「基本給=生活給+職能給」になっていきました。しかし、職能資格制度や職能給の実務を積み重ねるにつれて様々な課題が浮き彫りになってきました。
●運用が年功的
●発揮能力に応じた昇格・降格が出来ない
●高資格化による人件費の高騰
●職能資格の定義や基準が実態から乖離
●職能要件の有名無実化
この時の人事制度の目的は、生活を保障する生活給と、職務遂行能力とを総合的に評価することでした。

やがてバブルが崩壊し、「失われた20年?30年?」と言われる大不況時代へ突入します。各企業は業績悪化に伴い、人件費負担が大きいことから終身雇用制度を放棄して、大量リストラが多く行われるようになったのもこの時期の特徴です。

ちなみにリストラとは、本来は「再構築」という意味で使います、解雇という意味ではありません。そこは意図的に日本語を英語に言い換えることで、表現を曖昧にしたり、ごまかしたりする目的から使われていました。しかし今ではこの様な解釈が一般的になり、リストラ=解雇と同義語で使われるようになっています。

バブル崩壊の不況によりどうにもならなくなった企業は、業績悪化を食い止めようと賃金制度に手を付けるようになりました。つまり、人件費を削減する目的で賃金制度を変えようとしたのです。この考えに合致したのが、アメリカで効果があると言われていた「成果主義・コンピテンシー」でした。企業はこぞってこの成果主義を導入しようとしました。この成果主義がまた本来の趣旨とは違った運用をしてしまったことで、各企業の思惑とは違った方向に進んでしまい混乱してしまいました。

その成果主義の結果は、・・・
●単年度の結果で賃金を決定 ⇒ 目先の数字ばかり
●複数年に及ぶ研究開発やプロジェクト、大口顧客の獲得戦略などやらない
●製品の品質劣化
●社員の労働力低下
●新入社員の教育・育成放棄

 

この背景には、経団連が成果主義の徹底を促したことで、各企業が成果主義を導入することになった側面もありました。しかし、その数年後には、成果主義のマイナス面ばかり目立つことになり、ほとんどの企業で見直しが行われることになった。

では、本当の「成果主義・コンピテンシー」とはどんな制度なのでしょうか?

より高いレベルの業務成果を生み出す特徴的な行動特性を見つけようとする試みのことです。つまり、有能な社員の仕事ぶりからやり方やノウハウなどを観察・インタビューなどで分析して、何がその人を有能な社員にしているのかを明らかにすることです。言い方を変えると「この仕事をするために必要な能力は何か」ではなく、「人間の持つ能力のうち何が高い結果を生むのか」という考え方です。この考え方はプロセス重視であり、可能性ではなく実際に行っていることを重点的に見ます。「~ができる」ではなく、「~をしている」ということです。

成果主義はよく「結果がすべて」と言われますが、過程と結果に基づき評価を行うのが成果主義です。

◆ 2005年以降~人事制度の歴史 : 成果主義の確立と人事制度の多様化

誤った成果主義を廃止すると、職務給が再び広がりを見せ始めました。「役割」という新しい概念で、職責等級や役割等級という表現をすることもあります。

この内容は、企業が設定した目標達成に貢献するような能力を序列化し、専門性の貢献程度に基づき序列化することです。能力の要素を残しつつ、管理職層においては社内のポストが格付け基準の全面に出て、「仕事」基準の職務等級制度と「人」基準の職能資格制度の折衷案とも言えます。

◆ 人事制度の歴史のまとめ

戦後約70年もの間の変化です。時代背景と共に人事制度は常に変化しています。そしてこれからも変わっていくでしょう。

 

人事制度  (等級制度・評価制度・賃金制度)

人事制度の中でも根幹となる「処遇」つまり賃金についてです。「賃金・処遇」を決めるには3要素あり、「等級制度」「評価制度」「賃金制度」になります。それぞれ見ていきましょう。

人事制度 (1) 等級制度

従業員を「能力」、「職務」、「役割」などで序列化する制度の柱です。人材の序列や責任、権限なども定められた等級が根拠となって決まります。どういう等級にするのかは、企業の人材観・企業風土が反映されることになります。

 

代表的な等級制度
● 職能資格制度
年功評価による「職位」に代わり、「仕事に必要な能力(職務遂行能力)」に重きを置く制度です。つまり「人(能力)」ベースの等級制度です。職務遂行能力をランク付けして、昇進・昇格、賃金(職能給)、能力開発などを決定します。職能資格制度は評価基準が一律で、昇格基準があいまいになりやすい傾向があります。

 職能資格制度の特徴
職能資格制度での「能力」とは、業務遂行のために備わっている能力・蓄積してきた能力のことで、特定の職務に対してのものではなく、全ての職務に共通する形で表します。そのために年功序列や、企業の勤務年数が等級付けになる事が多いのが特徴です。全ての職務に対して共通する能力の区分を行うには、基準がかなり抽象的なものとなる現状があります。
 職能資格制度のメリット
・ ゼネラリスト育成向き
・ 人事異動や職務変更が容易
・ 組織の柔軟性
・ 安心感につながる制度
 職能資格制度のデメリット
・ 年功序列型の傾向
・ 総人件費が高止まり傾向
・ 資格等級と職務内容にズレ
・ 組織がいびつな形に

● 職務等級制度
それぞれの業務を分析した結果をベースに「職務記述書」を作成しており、その記述書に書かれた結果を点数化して評価する制度です。つまり「仕事」ベースの等級制度です。職務等級制度は仕事ごとに具体的に職務を定義しているため、明確に評価を行うことが出来ます。このような職務評価によって賃金を決定するのが「職務給」です。

 職務等級制度の特徴
職務等級制度の特徴は、全てが「仕事」ベースによる等級制度で、結果を出した人だけが評価対象になることから、国民性が大きく関係していると言えます。お互いに助け合う考え方が根強い日本では、制度の広がり方に欠ける状況です。
 職務等級制度のメリット
・ 職務と賃金の関係性が明確
・ 企業の求める人材像が明確
・ スペシャリスト育成向き
・ 総人件費の抑制
・ 評価基準が明確
 職務等級制度のデメリット
・ 職務記述書の作成が難解
・ 職務と賃金の関係性にノウハウが必要
・ 賃金の固定化
・ 組織の固定化
・ 生活給への配慮なし

● 役割等級制度(ミッショングレード制)
比較的新しい考え方が「役割等級制度」です。役割等級制度は、管理職や年齢、キャリア等に関係なく経営戦略などと連動した役割を明確にして、それを基に従業員は自ら目標とする「役割」を決めます。そしてその役割の評価によって賃金を決めるのが「役割給」です。言い方を変えると、役職×職務=役割という考え方をもとにその役割に応じた等級を設定する制度です。

 役割等級制度の特徴
役割等級制度は、能力があっても役割を果たさなければ等級の評価を得られない特徴があります。職務の内容だけではなく、ポジションに応じて期待される業務も含むことが出来ます。
 役割等級制度のメリット
・ 役割と賃金が適正
・ 役割が明確
・ 役割に柔軟性
・ 総人件費は抑制傾向
 役割等級制度のデメリット
・ 役割等級制度の導入に一定のノウハウ
・ 役割の柔軟な運用が必須
・ 名前ばかり制度に陥りやすい

人事制度 (2) 評価制度

評価制度とは、業務における姿勢や成果、企業への貢献度などを定めた基準に基づいて評価を行い、等級の昇格や昇給、昇進など処遇を反映させる制度です。
ただ単に従業員の処遇を決めるものではなく、モチベーションや生産性の向上、適切な人材の配置や異動、人材育成など、最終的に企業の業績アップに繋がる可能性があります。

 

評価制度のポイント
 誰が評価するのか?
 いつ評価するのか?
 何をどのように評価するのか?

評価に対する重要ポイント
 評価基準が明確に定義されていること
 評価基準をきちっと理解していること
 評価基準のルールを徹底すること
 評価が公正に行われること

代表的な評価制度(等級制度にほぼ紐づいている)
 能力評価
「能力評価」とは、職能資格制度に基づく「能力評価(能力考課)」のことです。この評価には、「能力評価」「情意評価」「成績評価」などがあり、能力評価に対してより重点が置かれます。評価対象となる能力(職務遂行能力)は、「職能要件書」・「職能資格基準書」などに定められているケースが多い。

 職務評価
職務等級制度の「職務評価」とは、「職務記述書」をベースに、従業員に課している職務(職種・職位)について、仕事内容や責任などに応じて評価します。そのため、能力があっても一定の職務に就いていなければ等級や賃金は低くなる傾向があります。

 役割評価
役割等級制度の「役割評価」は、従業員に対する「役割」を基に評価を行うものです。役割をどう決めるかについては、役職・職位ごとに求められる「成果責任」(企業業績に対する貢献度)とするケースが多いようです。役割評価が台頭してきた背景には、職務評価の問題点に対応していく中で、合理的な仕組みであると判断されていることがあります。

 成果評価
「成果評価」とは、言葉の通り成果主義に基づく評価の仕組みのことです。従業員には「成果」を上げる責任があり、その成果責任に対して評価を行うものです。成果主義では、どんな評価の仕組みを採用しても、成果評価は欠かせないという考え方に基づいていますが、この場合の「成果」は、企業に対する業績貢献度や経営課題への貢献度を指し示しています。成果評価を行う際には、「目標管理制度」に基づく「目標管理シート」などが使われて、賞与を含めた賃金の仕組みに反映されています。

 相対評価か絶対評価
どのような評価制度を採用するのかと同時に、「評価分布」をどう決めるかも重要な課題です。評価分布には「相対評価」と「絶対評価」があります。相対評価では、評価分布は標準分布を示すため、中間評価が多くなる傾向があります。また絶対評価は、仮に従業員全員が最上位評価に該当すれば、理論上、全員が最上位評価になることもあります。ただし「原資」には限りがあるため、相対評価を採用する企業が少なくありませんが、従業員に対する納得性や説得性が高いのは絶対評価になります。

人事制度 (3) 賃金制度

賃金制度とは、賃金や賞与といった賃金の仕組みです。一般的に、等級ごとに一定の範囲で上限と下限が定められていて、評価によってその範囲内での賃金や賞与などが決まるシステムです。退職金制度もこの賃金制度に含めて考えることが出来ます。

 

代表的な構成要素
 基本給
「基本給」は、毎月固定的に支払われる給与のことで、「年齢」「勤続年数」「学歴」など属人的な要素で決まる「属人給(年齢給)」と、能力や仕事内容、業績・成果などの要素で決まる「仕事給(職能給、職務給、役割給など)」で構成されています。

 手当
「手当」は、毎月固定的に支払われる基本給とは別に、福利厚生的な要素、扶養家族、勤務地、職務関連性に応じて支払われる給与のことです。支給基準を満たす項目について上乗せされて支給されます。

近年、諸手当で賃金に差をつけるのではなく、基本給で差をつけるべきとの考え方が強くなっており、諸手当は今後縮小・廃止される傾向が強まっている。特に、家族手当(扶養手当・配偶者手当)は、女性の社会進出を阻む要因であるとされていて、多くの企業で見直しが行われています。

 代表的な手当
・通勤手当
・役職手当・職位手当
・家族手当
・住宅手当
・特殊勤務手当
・単身手当・別居手当
・地域手当・寒冷地手当
・精皆勤手当

 賞与・ボーナス・一時金
「賞与」については、多くの企業が「夏季賞与」・「冬季賞与(年末賞与)」、企業業績が好調な場合であれば「決算賞与」という形での年2・3回程度、支給しているのが実情です。本来賞与は成果配分・業績還元という性質を持つため、賞与原資は当該期間における経営の成果・業績と連動させて決めるのが合理的です。

 退職金
「退職金」とは、従業員が退職する際に支給する賃金のことです。ただし法律として定められているわけではないので、退職金制度がなくても違法ではありません。
最近では、退職金制度を廃止、あるいは導入しない企業も出てきています。

 

 退職金の算定
① 基礎給 × 支給率
退職時の基礎給に、勤続年数別の支給率を掛けることによって退職金を算出する方式で、最も一般的な方式です。ただし定期昇給やベースアップによって賃金がアップすると退職金に跳ね返るため、企業の退職金負担が重くなるというデメリットがあります。
② 別テーブル × 支給率
退職金算定用のために特別の賃金表を作成して、それに勤続年数別支給率を掛ける方式です。別管理の賃金表のため、定期昇給やベースアップがあって賃金が増えても、退職金には影響しません。
③ ポイント方式
「ポイント×単価」という算定式で、退職金を計算する方式です。退職金制度に能力・実績主義が反映できて、賃金増加の影響を排除できるなどのメリットがあります。
④ 定額方式
勤続年数などを基準として、退職金を事前に決めておく方式です。シンプルですが、本人の能力や業績貢献度が反映されないなどの課題もあります。

人事制度の現在の問題点

人事制度は歴史が物語るように「時代の流れとともに変わっていく」という特徴があります。最近は人事制度の問題点が指摘されることが増えています。どのような問題点があるのでしょうか。

 

(1) 働き方の多様化への対応

働き方の多様化とは具体的に、
① フレックスタイム制
② 裁量労働制
③ 時短勤務
④ テレワーク・在宅勤務
⑤ 副業兼業           などです。
働き方改革の始動の影響によりワークスタイルが多様化してきたことから、就業時間も場所も柔軟になっていく傾向は、今後も浸透していくでしょう。従来の人事制度では、このような働き方を想定していませんでした。働き方の多様化が進めば進むほど、人事制度の多様化も必要になってきています。

(2) 業務の高度な個別化

これは「従業員が自分にしか出来ないスキルを磨くことによって、個別に能力を発揮する形」に変化しているということです。従来の人事制度では、複数の従業員が同じ業務を行い、経験を積み重ねたことから技能が習熟してきて、そのことで評価が高くなるよう設計されていました。
ところが、業務の個別化が進むと、「誰が・どのような指標で業務を評価すれば良いのか?」という点で、制度の難易度が上がります。つまり、一律の評価基準では評価が出来なくなり、さらに評価基準を個別化していく必要性が出てきます。

(3) 人事制度を運用する時間がない

企業にとって人材は最も重要な経営資源です。特に中小企業では人材不足が深刻な経営問題となっており、その解決策として人事制度が重要視されるようになっております。しかし人事制度を構築して、運用するには多くの時間や資金が必要になります。中小企業では、多額の資金があるわけではありません、また人材不足の影響から人事担当者を配置出来なかったり、配置出来たとしても他の業務と兼任しているケースが大半です。つまり、人事制度を導入するには時間や資金が無いといった問題に直面しています。

人事制度の構築

企業が継続的に成長・発展していくためには、人事制度の構築は必要不可欠な取り組みです。そのため、しっかりと最適な人事制度を構築していきたいところです。

 

(1) 経営理念の確認

人事制度は経営理念に基づいたものでなければなりません。もう一度自社の経営理念を確認した上で、人事ポリシーを明文化するところから始めましょう。理由は、人事ポリシーは制度構築する上で「従業員のことを企業はどう考えているのか」「どのような人材に育って欲しいのか」など、従業員に対するメッセージの役割も担っているからです。

(2) 現状分析と基本設計

人事ポリシーが決定したら次は現状課題を分析します。既存の人事制度再設計を行うには、「現状」を把握した上で「課題はどこにあるのか?」を洗い出すプロセスが非常に重要です。これは「感覚で主観的」に捉えるのではなく、出来る限り「データで客観的」に捉える必要があります。このような調査データを基に問題点の洗い出しを行い、具体的にどんな改善が必要か見ていきましょう。

(3) 等級制度設計

等級制度は、人事制度の3つの柱「等級制度・評価制度・賃金制度」があるなかで、評価制度と賃金制度は等級制度によって決まるため、はじめに等級制度から構築します。等級制度は自社の方向性に沿って、どの等級制度にするかを判断します。この時に、等級の階級や条件など等級に関する定義も設計しましょう。

(4) 評価制度設計

評価制度では、「何を評価するか(評価項目)」「どのように評価するか(評価基準)」が重要です。自社の経営理念、そして人事ポリシーに基づき、企業と従業員が同じ方向を向き、モチベーションの向上に繋がる評価制度となるように心がけましょう。

(5) 賃金制度設計

次に賃金制度になります。社内の等級や評価制度を正しく賃金に反映させるように設計しましょう。賃金は生活に多大な影響を与えるものになります。そのため、同業者等の賃金水準や世の中の動向など外的要因を考慮した上で、入念に検討を重ねていくことが重要です。

(6) 新制度のシミュレーション

ここまで設計が出来たら人事制度は一応完成です。しかし、完成したからといってすぐに運用してはいけません。なぜなら本格的に導入する前には、必ずシミュレーションを実施しましょう。「等級や評価などの変化に従業員のモチベーションが低下していないか」「新制度を用いて十分な効果が見込めるか」など、様々な変化項目を確認する必要があります。

そして従業員に対して、新制度の趣旨を十分に説明して理解と協力を求めることはもちろんのこと、新制度を適用するにあたって等級や賃金など処遇が大きく変わってしまう従業員がいる場合には、長期間にわたって丁寧な対応を続ける配慮も必要です。

(7) 新制度の運用開始

念入りにシミュレーションを実施して、新しい人事制度への移行準備が整ったら、本格的に人事制度の運用をスタートさせていきます。人事制度を狙いどおりするためには、「新制度に関する周知徹底」と「適切な運用」が最も重要なポイントとなります。そのためには、従業員に人事制度の趣旨や目的など十分な説明と、管理者には適正な運用が実施できるよう評価者研修の定期的な実施が必要不可欠です。また、運用しながら課題が見つかれば繰り返し改善していくことが重要です。こうした取り組みが制度自体を浸透させ、自社にあった人事制度の構築が可能になるのです。

以上が人事制度の構築についての流れになります。

人材育成・人事異動・福利厚生などの人事制度諸規則


 

働き方改革の実施や多様な価値観を認める風潮が浸透し始めています。人材育成・福利厚生は就職活動をしている方々にとっても企業選びの大きな基準となっています。そのため、福利厚生施策で企業の魅力や社風をアピールしながら、「働きやすい職場環境」という企業イメージを知ってもらえるようにしなければいけません。また従業員にとっての福利厚生施策は、長く働いてもらえる職場環境づくりにも影響します。福利厚生などの充実は、人材流出リスクを下げるなど結果的に企業の長期的な成長や生産性向上に効果があるといわれています。各企業の特色を生かしながら、取り組みましょう。

そして目指す先は、・・・

 

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